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![]() ![]() 知財,特許業界で活躍したい人を応援する ブライナ代表 弁理士 佐原雅史氏に聞く [2006/02/02] ![]() (聞き手:テクノアソシエーツ 池田英一郎)
「無料特許キャリア相談」の概要を教えてください。 知財,特許業界でキャリアアップを考えている方々が,インターネットを通じて,無料で相談できるサービスです。「知財情報局」上の専用フォームに,連絡先(Eメールアドレス),過去の業務経験,保有スキル・資格などの簡単なプロフィールと,具体的な相談内容を匿名で書き込み,送信するだけなので,気軽に相談していただけます。毎日,様々な相談が寄せられますが,それぞれの相談への回答については,人材会社出身の経験豊富な人材コンサルタントと、私を含めた知財の専門家である弁理士チームで対応しています。 本サービスを始めたキッカケは,何だったのでしょうか。 他の職種と比べると知財,特許業界の場合,自身のキャリアアップやスキルアップについて,誰にも相談できずにいる方が多いのでは,と以前から感じていました。ここ数年,政策として専門人材の育成が謳われ,確かに求人情報は多様化していますが,「この企業,特許事務所へ,履歴書を送るべきか」「未経験だけど,本当に知財,特許業界へキャリアチェンジできるのか」といった不安要素が根底には多く,気軽に相談できる場所がほとんど無い状況です。「知財,特許業界で活躍したい」,そんな方たちの背中を軽く押してあげるような機会を提供できればと考え,試験的に「無料特許キャリア相談」を開設しました。 将来的には,実際の転職支援,その準備段階としての実務教育などにも力を入れていきたいと考えています。現在,「有料職業紹介事業」,「人材派遣事業」に関する許可申請の手続きを行っているところで,今春からはインターネットのみならず面談にも対応していく予定です。 どんな方からの相談が多いですか。 現在のところ,知財,特許業界に関心のある“未経験者”からの相談が多いのですが,やはり中心層は,企業の研究開発部門で10年以上のキャリアを積んだ,30〜40代の技術者です。“技術への理解力”という観点から,特許業界で活躍する素養としては充分ですが,「文章力で争う世界」という認識も高く,なかなか一歩を踏み出せない方もいます。 技術者の中には,弁理士資格を持っていながら実務経験の無い方もいて,これからどのようなキャリアプランを描けば良いのか,相談されるケースもあります。 実際,企業の研究開発部門から知財部門へ転身するケースは多いと聞きます。 はい。大手メーカーでは専門知識を生かしたキャリアパスの1つとして,研究開発部門から知財部門へのキャリアチェンジはよくあります。技術者が特許業界へ飛び込む場合,「社内異動」と「退社,特許事務所への転職」という2つの選択肢がありますが,社内の知財部門が体制として整っている場合は,前者の方が良いでしょう。転職失敗のリスクや,家族や生活への影響を考慮すると,後者はなかなかお薦めできません。一方,特許出願に消極的で,知財部門が無い中堅・中小企業の場合,前者の道は険しく,相談できる相手も周りにいないため,知財,特許業界に関する情報も不足になりがちです。 他に,どんな相談ケースがありますか。 未経験者について言うと,「何となく知財に興味を持った」,という営業系・事務系の方からの相談もあります。文系出身者の方は,商標への関心が高いようです。 特許事務所で弁理士の権利化実務をサポートする,特許技術者,商標担当者,意匠担当者,事務員といった経験者からは,人間関係に関する悩みをよく聞きます。この業界は比較的小規模な事務所が多く,溶け込みやすい反面,溶け込めなかった場合には孤立してしまうこともあるようです。 未経験者の場合,知財,特許業界へのキャリアチェンジのハードルは,高いのでしょうか。 そんなことはありません。しかしながら,未経験者の場合,まず業界のことを理解することが重要です。同じ知財の世界でも,技術的な専門知識を要する特許の分野と,意匠・商標のようなそれ以外の分野があるので,「自分がどちらに進みたいか」,を明確にすることです。 知財,特許業界で新たにチャレンジしようと考えている方たちのスタート地点を考えると,環境としては即戦力が期待される企業の知財部よりも,特許事務所の方が良いかもしれません。特許事務所でも同様に即戦力を求めていますが,業務が固定化し,ノウハウが蓄積されているため,ゼロから養成できる教育環境が比較的整っています。特許の場合,業界初心者でも技術理解力があれば,明細書作成といった特許実務のノウハウも,たたき上げで身に付けることも可能でしょう。 最近,知財,特許業界でもキャリアアップを志向する人が増え,人材の流動も活発化しており,特許事務所から企業の知財部へ転職するケースも昔と比べて増えています。また,弁護士,弁理士,会計士といった専門家のマネジメントスキルは,各専門業務の担当者として必要なスキルの1つであり,企業内部,外部双方での実務経験は,貴重な戦力です。 知財,特許業界へ新たにチャレンジする方にアドバイスを。 専門知識,特許について言えば技術理解力,そしてコミュニケーション能力も重要ですが,何よりも“やる気”です。というのも明細書作成には相当な根気が必要だからです。しかし,就職活動時に“やる気”を言葉だけで伝えるのは難しいでしょう。 そこで,例えば弁理士試験や知的財産検定といった資格・検定の受検経験があれば,自分の“やる気”を行動として相手に伝えることができます。また,業界に飛び込む前に,自分の適性やレベルを測るための指標として,こうした資格・検定の受検は有効です。試験問題を通じて,業界の水が自分の肌に合うかどうか,ある程度はわかるのではないでしょうか。ただ,難関資格である弁理士試験の場合,受検に対してはそれなりの決意と期間を要し,仕事の負担になりかねないこともあるため,例えばキャリアチェンジを考えている技術者に対しては,知的財産検定をお勧めしています。自分で適正を把握した後に,心の底から湧き上がる“やる気”こそ,本物だと思います。そのような方は、ぜひ知財,特許業界にチャレンジしていただきたいと思います。
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