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知財パーソンの履歴書


宮下洋明さんの場合 (電機メーカー・知的財産グループ勤務)
[2009/05/28]



 宮下洋明さんは,現在,電機メーカーの知的財産部員として,カーナビやカーオーディオといった車載マルチメディア事業を,知的財産の側面からサポートしている。6年前に,特許事務所から中途入社。以来,出願・中間処理・権利化業務を担当し,今春からは契約・訴訟対応といった知財ライセンスに関わる業務へと活躍の場を広げている。第一線で活躍する知財パーソン,1級知的財産管理技能士の人物像に迫る。




機械工学を学びながら法律に興味を持ち,特許事務所への就職を選択

 宮下さんが大学で機械工学を学んでいた当時は,超就職氷河期。周辺でも,司法試験のために資格予備校に通う友人や,法学部に入りなおす友人が,同じ研究室にいたという。自身も法律に興味があり,実験やバイトの合間を見ては法律専門書を眺めていた。「講義でも知的財産権について学ぶ機会がありましたが,法律自体に興味を持っていました。特許事務所の存在を知ったのは4年生の前期だったと思います。とりあえず,そこで働きながら法律の勉強を続けようと,秋口から就職活動を始めました」(宮下さん)。

 新卒で就職した特許事務所では,大学で学んだ技術的な専門知識も生かされた。2年半の在籍中,明細書作成,中間処理に携わる。カーナビ分野の仕事にも関わり,現在勤務する電機メーカーは当時のクライアントでもあった。入所後も,当初は弁理士ではなく司法試験を目標に法律の勉強を続けていた。しかし,区切りをつけ,「企業の立場から,もっと知財に関わってみたくなった」(宮下さん)と,人材紹介会社を通じて新たに仕事の場を求めた。

特許事務所での経験が,企業での知財実務に生きる

 現在,宮下さんが勤務する電機メーカーは,グループ全体で多数の知財スタッフを抱える。その数からも,企業としての知財戦略重視の姿勢が伺える。事業の強化・拡大・グローバル化を背景に,実務経験のあるスペシャリストを中途採用する企業は多い(関連記事)。最近,新卒でも「知財部員採用」をしている企業が,以前と比べると増えてきているが,宮下さんの会社ではかなり以前から行っているという。「当社にはインターンシップ制度もあり,私たちの事業部門でも受け入れを頼まれることがあります。中には知的財産管理技能検定(旧知的財産検定)を既に受検している学生もおり,私が学生の頃と比べると,知財に関心の高い,知財に詳しい若者が増えているのではないでしょか」(宮下さん)。

 特許事務所から企業の知的財産部へ転職することで,事業戦略,事業貢献をより意識した環境で知財に関わることができるだろう。また,発注側へと立場が変わったことで,これまでの特許事務所の仕事も客観的に見ることができるに違いない。実際,宮下さんの場合,どうだったのだろうか。「例えば,カーナビ関連のソフトウェア特許を出願するために,特許事務所に仕事を依頼すると,ライセンスもできない,訴訟にも使えないような狭いクレームで返ってくることもあります。一方,特許事務所では,企業側の方針が不明瞭で,明細書作成に苦労した経験があります。現在,特許事務所を上手く使いこなしていると実感しています。双方での実務経験があるからかもしれません。特許事務所側には,“残り2割の部分”で専門性の高い,付加価値のある仕事やアドバイスを期待しています」(宮下さん)。

知的財産管理技能検定に1回で合格,対策は“実務経験のみ”

 宮下さんの会社では,知財担当役員や,知財意識の高い経営陣から,コーポレート部門スタッフ含めグループの知財部員に対して,専門スキルの向上が期待されている。そのための研修や評価指標として,弁理士試験や出願・権利化関連の社内研修(2ヶ月)に加え,知的財産管理技能検定も推奨されている。同検定については,グループ社内のイントラネット上で,各級の技能士(合格者)の合格体験記など各種情報を共有できるようになっている。宮下さんも力試しに,知的財産検定時代の2007年に2級を,2008年に1級を受検,それぞれ1回で合格した。

 1級試験は,合格率5%前後の難関試験。何か特別な対策はあったのだろうか。
 「特にありません。日頃から,官庁や法律系出版社が出している審査基準や実務系の専門書,ハンドブックの類を参照,確認しながら仕事をしています。一部実務経験のない外国特許法に関する出題もありましたが,全般的に普段の実務で出くわすシーンが多かったので,解答を自然に選択することができました」(宮下さん)。

1級技能士として,営業,事業企画担当者に自信を持ってアドバイス

 ここ数年,企業の知財部門の役割が重要視される中,事業に対して具体的な貢献,成果が求められるになっている。人事評価も同様である。宮下さんの会社では,担当した出願件数や訴訟件数に加え,訴訟対応による経済効果を試算,数値化することで,事業への貢献度を測っている。

 知財業務には,ある程度の正解があるものの,比較的,特許事務所や企業のローカルルールが適用されがちな業界。宮下さんもある意味,前職の特許事務所,現在の会社で磨き上げてきた“自己流”。そうした中で,こうした実務系の検定による一定評価は,自信に繋がったという。「普段の仕事の中で,私の思考回路や判断が客観的に正しかったのかどうか,後から漠然と不安に思う時があります。だから検定の受検,合格を通じて少し安心しました。今春から契約業務を担当するようになり,営業,事業企画担当者と話す機会が増えましたが,今では自信を持って説明,アドバイスできるようになった気がします。ただ,知財の立場からだけだと事業に対する解釈も貢献できる範囲もやはり限定的です。今後,機会があれば,“企画”と付く部門で経験を積み,事業をもう少し多面的に見てみたいという願望はあります」(宮下さん)。

 現在は,弁理士試験の論述式筆記試験に向け準備を進めている宮下さん。今後の更なる活躍に期待したい。

(文・池田英一郎=テクノアソシエーツ)