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知財パーソンの履歴書


小栗真由美さんの場合 (弁理士・オリーブ国際特許事務所 勤務)
[2009/06/02]



 長年,外資系医療機器メーカーでマーケティングを担当していた小栗真由美さんは,あることを契機にキャリアチェンジ。弁理士を目指して勉強することになった。実務経験は無かったものの,その過程で一昨年には知的財産検定1級に1回で合格,昨年には4回目のチャレンジで見事,弁理士試験に合格した。
 今春,弁理士登録をし,知財プロフェッショナルへの第一歩を踏み出した小栗さんの人物像に迫る。




 オリーブ国際特許事務所(神奈川県横浜市)に勤務する小栗真由美さんは,今年の4月に弁理士登録した新米弁理士。1級知的財産管理技能士の資格も保有している。現在は,主に外国特許実務を担当し,化学,機械分野を中心に,日本で出願しているクライアントの特許を米国や欧州,中国などへ出願している。

 今でこそ,国家資格,検定に合格し,知財分野の専門家の道を歩み始めた小栗さんだが,自身のキャリアに転機が訪れたのは,5年前のことである。当時,外資系医療機器メーカーに勤務し主にマーケティングの仕事をしていたが,ご主人の福岡への転勤を機に退職することになった。
「医療機器業界での営業やマーケティングの仕事を通じて,パテントの企業経営に与える影響の大きさを肌で強く感じていたので,当時から特許に絡む仕事をしたいと漠然とは考えていました。大学では工業化学を専攻していましたが,これまでの仕事でその知識を生かす機会は多くありませんでした。“理系の知識が生かせて,勤務地にとらわれない,将来的に長く安定してできる専門的な仕事”,と考えて思い浮かんだのが弁理士への道でした」(小栗さん)。

弁理士を目指すコミュニティに参加して仲間を作る

 ご主人の転勤の地,福岡で,弁理士試験に向けた勉強を開始した小栗さんだが,ここから合格まで4年を費やすことになる。最初の1年間は資格予備校で教練を受けたものの,その後は資格予備校の通信講座などを利用しつつ,独学に近い形で勉強を続けた。福岡は,弁理士試験の受験者数も首都圏と比べると少なく,周りに仲間も作りづらかったという。情報交換もなかなかできない。そんな中,小栗さんが活用したのが,遠方でも情報交換ができる,SNSやスカイプといったインターネット・サービスだった。
 「SNSで,弁理士試験を目指すコミュニティがあり参加しました。30人くらいのコミュニティで,企業の知財部,開発から知財部に異動された方,企業の研究員,特許事務所の方,大学関係者など,私のような実務未経験者も含め様々な面々です。そのうち,多くの方が現在では弁理士,1級知的財産管理技能士です。試験問題の傾向や対策,勉強方法といった情報交換のみならず,実際に答案を交換,添削し合うことで,出題内容に対する客観的な視点も身につきます。特に,口述試験に向けては遠方同士で集まれない代わりに,スカイプを使って練習をしました」(小栗さん)。

弁理士試験の流れで知財検定を受検

 また,弁理士試験の受検勉強の過程で,実務検定である知的財産検定(現:知的財産管理技能検定)も受検した。コミュニティでも受検している仲間は多かった。「国内特許出願では,弁理士試験と内容・分野が重なるところも多く,特別な勉強せずに取れるものは取ってしまえという気持ちがありました」(小栗さん)。
 小栗さんは,民間の知的財産検定時代,弁理士試験の論文式試験の時期に受検して見事1回で合格した。その後,同検定の国家検定への移行に伴い,特例講習を受けて1級知的財産管理技能士となった。「国内実務分野については,参考書含め,弁理士試験の勉強がそのまま役に立ちました」(小栗さん)。
 一方,出願各国の特許制度への広い見識と豊富な経験が求められる,外国特許実務はどうか。弁理士試験の出題範囲外ということで,弁理士試験との相乗効果は見込めない。しかし,検定受検を通じて得た知識が,「あの時の出題シーンは,このことを言っていたんだ」(小栗さん)と,弁理士になりたての今まさに役立っているという。

将来の目標は,マーケティング×知的財産でビジネスを創造

 ご主人の転勤で再び地元に戻ることになった後,現在,勤める特許事務所には,昨秋,弁理士試験の合格発表の少し前に入所した。創立5年の比較的新しい事務所で,未経験でも一から丁寧に教えてくれるアットホームな雰囲気が決め手だった。現在,所員数は32名で,弁理士は小栗さん含めて5名。業績も所員数も順調に伸び,今年の6月には新しいオフィスへ移転する。
 新米弁理士として新たなキャリアを踏み出した小栗さんの目下の目標は,「とにかく,実務経験を積んで一人前の弁理士になること」(小栗さん)。しかし,すでにその先も見据えている。
「これまでは,ずっと企業のマーケティング担当として,製品をどう売って,顧客にどう評価され,さらに改善して顧客ニーズに合った製品を提供して事業を広げていく,というビジネスの一連の流れを見てきました。これからは知財の専門家として,こうした流れの中で,権利化した知財を生かした製品を開発し,大きなビジネスに直結させるような仕事に関わっていければと考えています。そのための,ビジネス知識の習得や人脈形成の場として,社会人大学院への通学も将来的には検討しています」(小栗さん)。

(文・池田英一郎=テクノアソシエーツ)