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金沢工業大学大学院・知的創造システム専攻

【OB・OGインタビュー】
アーティスト・村山華子さん
[2005/12/16]

 日本のコンテンツが世界中から注目を集め,ビジネス機会が海外へ広がる中,作品を自分自身でマネジメントしていくために,必要な専門知識として知的財産権や経営について学ぶアーティストやクリエイターが増えている。東京芸術大学出身のアーティスト・村山華子さんもその1人で,2004年に東京・虎ノ門で開校した金沢工業大学大学院知的創造システム専攻の1期生として入学した。修了後も新しいタイプのアーティストとして活躍の場を広げている,村山さんにお話を伺った。
(聞き手は,知財ナビ編集部)

村山華子さん 「芸大生」と「知的財産」というと,一見意外な感じの組合せですが,まず大学在学中のお話をお聞かせください。
 大学では美術学部の先端芸術表現科というところに在籍していました。そこでは,絵や彫刻といったメディアを問わず,映像や身体表現なども取り込んで,幅広い表現を学びます。在学中は「良い作品を創りたい」という気持ちと,「作品を自分でマネジメントして,自分で売っていかなくてはいけない」という気持ちが両方ありました。学内では作品の良し悪しについて語られることが多い反面,その作品でどう自分を売っていくのか,については話題に上ることが少なく,なかなか学ぶ機会もありませんでした。なので,自分の作品を少しでも多くの人に触れてもらうために,独自で色んなことにチャレンジしました。

具体的にはどんな活動をされていたのですか?
ガチャガチャ(玩具自動販売機)
ガチャガチャ(玩具自動販売機)でのオブジェ販売
 アーティストが,作品やブランドを流通させ,販売するためには,1つのパッケージにする必要があるのではないかと思いました。例えば,期間を区切って美術館などに作品を展示する「展覧会」もその方法の1つかと思うのですが,展覧会だとお客さんが実際に足を運ばなくてはならないため,流通形態としては決して効率的とは言えないですよね。そこで,広く作品を見てもらうためにはどうしたらいいかと考えて,まずは,手作りの小さなオブジェ作品を入れた「ガチャガチャ(玩具自動販売機)」を店頭に置かせてもらうなど,身近な範囲で試してみました。その後,「移動式豆本図書館ぶつぶつ堂」と称して,観客参加型の移動型図書館をつくるアートプロジェクトを始めるなどして,自分なりの作品の広め方を試行錯誤していきました。
 「ガチャガチャ」の作品はひとつ100円で販売し,100個以上がすぐに完売しました。とても採算は合いませんが,日常的に手の届くところに,誰でも手の届く価格の作品を置いたことで,人が競って自分の作品を買い求めてくれるという,嬉しい手ごたえを感じることができました。移動式図書館のような「観客参加型」という展示形態では,作家と観客の境界線をあいまいにしたことで活動の認知度が広がりました。しかし,オブジェのようにはっきりとした形がない分,パッケージとして流通させるにはまだまだ課題が残りました。

移動式図書館ぶつぶつ堂 移動式図書館ぶつぶつ堂
移動式図書館ぶつぶつ堂

知的財産権に関心をもったのも,ちょうどその頃ですか?
 はい。新聞などで「知財」という言葉を頻繁に目にするようになり,アートと知的財産権の関係について考えるようになりました。知的財産権についてきちんと学んで,作品の権利をより明確にしたら,流通形態の可能性がもっと広がるのではないかと感じたのです。大学を一歩出れば,世の中の出来事のほとんどが,お金と法律に結びついていると感じ始めたのもこの頃です。
 内容の良い作品をつくることを一番にしたい気持ちは変わりませんが,その一方で,出来上がった作品をより自分のイメージに近い形で人に伝えるためには,お金と法律の面から,自分をある程度マネジメントする力も必要だと思っていました。もちろん,アーティストが,マネジメントやビジネスを優先して作品をつくるようになっては本末転倒ですが。日本でも,政治家や弁護士と同じように,アーティストが職業として認識されればいいなと以前から思っていましたので,作品を制作する以外にも,世の中を動かすお金と法律という2つの大きな力について知るのは,決して無駄なことではないと思いました。
 そんな時,たまたま手にした新聞で,金沢工大の広告を目にしました。いざお金や法律について学んでみたいと思っても,当初は,美大系の私でも試験を受けられる法律系の大学院があるとは思いませんでした。なので,事前に大学院説明会で,基礎知識が全くない点などを先生方と色々相談させてもらい,最終的に進学することを決めました。(次ページへ

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