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産学連携推進のための共同研究契約書
[2007/03/28]

弁理士
金沢工業大学大学院
工学研究科 知的創造システム専攻
客員教授 井桁貞一
井桁貞一氏
本コラムは,<特許ニュース>2007年2号(発行:財団法人 経済産業調査会)に掲載された論文を転載したものです。


1.はじめに
 平成16年4月に国立大学が国立大学法人となり,大学職員の発明は原則として大学帰属となった。また,大学と企業間の共同研究が行われる場合の契約条件等については各大学で自主的に決定することになった。各大学とも,それまで文部科学省から提示されていた,いわゆる契約書の雛型に基づいて,契約を行おうとしたが,企業側は多様な要求を出してくるようになり,契約を締結するまでに多くの労力と時間を費やすようになった。
 大学,企業双方が満足できる契約を締結し,本来の目的である産学連携,共同研究を促進するためには,共同研究の内容,状況に基づいた柔軟な契約交渉が必要である。しかしながら双方が納得できる標準契約書があれば,契約締結までの時間や労力を軽減でき,企業と大学間の共同研究の推進に役立つ。
 本稿はそのような標準契約書を提案するものである。

2.文部科学省の雛形
 文部科学省は平成14年3月29日,国立大学に対して,「共同研究契約及び受託研究契約の取扱いについて」という通達をした。これは,企業等の多様なニーズに応じた柔軟かつ迅速な契約締結を図るためのもので,契約書の参考例(以下では雛形という)を提示した。ただし,その通達の中で,「契約の締結に当たっては,内容等について事前に企業等と十分協議し,柔軟に対応するよう留意願います」としている(なおこの雛形は平成15年4月1日に,「知的所有権」を「知的財産権」に変更する修正がされた)。
 それまでは,昭和53年3月25日の文部省通達「国立大学等の教官等の発明に係る特許等の取扱いについて」に基づき,「特許を受ける権利は一部国に帰属するものを除き原則発明者に帰属する」という取り扱いで,共同研究での発明の取扱いに大学はほとんど関与してこなかった。

 平成16年4月1日各国立大学は法人になり,自由に共同研究契約を締結できることとなった。そこで多くの大学はこの雛形に若干の修正をして利用している。
 この雛形全体の考え方は,国立大学の発明であっても,相手企業に一定期間独占権を与えることを認めた点で,それ以前の国有特許についての取り扱いと相違している。従来は国立大学の発明を一私企業に独占を認めるのは不適切という考え方であったが,相手企業に独占権を認めても,それによって,相手企業が発明を実施し,その成果を広く社会に還元することによって,大学の発明が社会に寄与できるとの考えにより,国有特許についても,独占権を認めるという方針変更によると思われる。
 この雛形では,一定期間の独占権を認めている。しかしながら,根幹には発明が実施され成果が社会に利用されることを求めており,したがって,相手企業によって,発明が実施されていないときは,たとえ独占実施権を認めていたとしても,第三者に実施許諾し,発明が実施されることを求めている。
 なお,この雛形では独占権という用語は使用されておらず,優先的実施という用語が使用されている。しかし優先的実施とは,実質的な独占実施を意味すると考えられる。

 次に共有権利の取り扱いで,企業側共有権利者には第三者への実施許諾権を認めた上で,企業側共有権利者の特許実施に対して,大学側共有権利者への実施料の支払いを必要としている。これは,企業側が共有権利を自由に実施できるのに対して,大学側はその性格上実施できないというアンバランスを解消するためとの考え方による。これは大学側が権利を実施しないことから,不実施補償あるいは不実施料といわれている。特許法によると,特段の定めのない限り共有権利者はその特許を自由に実施できるということになっており,現在この取扱いをめぐって,大きな議論になっている。
 この雛型の主な内容は以下の通りである。


【権利の帰属】
 発明者主義の原則に基づき,権利は発明等をした側に帰属するとしている。ただし,大学側の権利は昭和53年3月25日付け文学術第117号学術国際局長,会計課長通知「国立大学等の教官等の発明に係る特許等の取扱いについて」により,大学または研究担当者に帰属するとしている。そして,大学側の権利が研究担当者に帰属した場合,大学の研究担当者と企業の共有になるわけであるが,この場合は別途定めるとしている。
 また,相手から持分を承継した場合は単独で出願等をすると規定しており,共同発明でも単独出願の可能性を明記している。
【大学単独権利の扱い】
 相手企業から通知があった場合,一定期間優先的に実施させることを許諾すると規定されており,優先的実施期間は10年を超えない合意した期間とすることという注釈がつけられている。ただし優先的実施期間の更新を協議の上定めることができるとしている。
 また,優先的実施権を与えている期間でも,相手企業が正当な理由なく,実施しないときは,第三者に実施許諾できると規定されている。
【共有権利の取り扱い】
・共有権利者の実施
 契約書雛形19条2項には「甲及び乙の共有に係る知的財産権を乙または乙の指定する者が実施しようとするときは,甲は自己実施しないことから,別に実施契約で定める実施料を甲に支払わなければならない」と規定されており,共有権利者の実施については不実施料が必要である。なお,甲は大学側で,乙は企業側である。
・持分譲渡
 共有権利者にのみ可能としている。
・ライセンス許諾
 企業側は可能としており,その場合大学側は他にライセンスできないと規定している。
 ただし,企業が実施しない場合,大学は他にライセンス可能とされている。
・特許費用
 特許費用は持分に応じて負担となっており,一方が費用を負担しない場合,相手に譲渡できる。
・権利の譲渡
 大学単独権利及び共有権利の譲渡あるいは専用実施権の許諾は,相手企業にのみ可能と規定されているが,あらかじめ,相手企業の書面による同意を得た場合は,第三者に共有の持分を譲渡あるいは専用実施権設定が可能とも規定されている。



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