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提供:日経BP知財Awareness
従来の大学院の枠を超えた知財人材教育を実践
金沢工業大学大学院 知的創造システム専攻(上)
[2005/08/01]

 「企業と個人の両面で知財人材教育に対するニーズは大きく変化している」。金沢工業大学大学院・知的創造システム専攻で教授を務める加藤浩一郎氏と,同大学院事務局・室長の泉屋利吉氏はこのように指摘し,従来の大学院の枠を超える新しい人材教育を東京・虎ノ門で実践している。同大学院の特徴は,企業の第一線で活躍している弁理士・弁護士・実務経験者・研究者による実践的な指導と,効率的な教育システムの導入であり,この点は産業界などから高く評価されている。先進的な知財人材育成に取り組む同大学の今後目指す方向性を,加藤氏と泉屋氏に聞いた。
(聞き手は日経BP知財Awareness編集部)

各企業の知財戦略における「人材育成」の重要性が高まると共に,育成の手法自体が変化している。どのような状況なのか。


 企業内の知財人材の育成環境は,急激に変化しつつある。質,量の両面で知財人材に対するニーズが高まった結果,育成や教育のあり方が改めて重要視されている。
 特に,本学をはじめとする知財専門の大学院などを通じた質の高い人材育成の充実が著しい。こうした教育機関では,知財実務のエキスパートが教壇に立ち,そのノウハウを教授している。本学の場合はさらに工学系大学のメリットを生かし,知財の本質である技術を基軸として,「知的創造サイクル」の全体を見据えた大局的な観点から知財を取り上げている。
金沢工業大学 大学院工学研究科 知的創造システム専攻教授 加藤浩一郎氏
加藤浩一郎氏
金沢工業大学 大学院工学研究科 知的創造システム専攻教授。上智大学大学院理工学研究科修了。日本アイ・ビー・エム(株)システム系部門においてシステム・エンジニアの後,知的財産部門に所属し主任弁理士,課長,社外活動において太平洋知的財産協会委員,日本知的財産協会ソフトウェア委員会委員などを歴任。日本知財学会会員。情報処理学会会員。日本弁理士会会員。
   こうした環境の変化は,私が企業で実務に携わりはじめた十数年前と比べると隔世の感がある。かつて,大学において知財は主要な専攻分野ではなく,加えて,「産業財産権」を切り口とする法学的な研究が中心であり,技術的な側面から知財を取り上げる研究や教育は皆無に近い状況だった。結局,知財実務に必要な知識やスキルは業務を通じて学ぶほかなく,「知財人材の育成は各企業内での取り組みに委ねられていた」と言っても過言ではない。


 企業における変化に加えて,キャリア・アップに積極的な姿勢で臨む人材が増えていることも挙げられる。これは本学の経験上も指摘可能だ。開校前は「入学者は企業から派遣されてくる人材がある程度を占めるのではないか」と想定していたが,実際には,自らのキャリア・アップを目標にした自主的な進学者がほとんどだった。多くの院生は,仕事と大学院での研究を両立しており,また学費も自己負担している。
新たな人材育成のニーズに対して,金沢工業大学はどのように取り組んでいるのか。


金沢工業大学 泉屋氏 大切な点は,育成の場を創造する大学側も新しいコンセプトを持たなくてはならないということだ。本学は「従来の大学院の枠を超えた新たな教育機関」を標榜し,設計・運営している。具体的には,次の3要素が強みになっている。
 第1は,実務の重視である。本学では,11名の専任教授を含め全77名の第一線の実務家を教員として擁している。教員数は大学院生の定員数と同数であり,きめ細かい教育を実施する上で最大の強みとなっている。
 第2は,専攻内に3つの専門コースを設置し,各コース科目を相互に学習できるようにしていることである。具体的には,(1)IT(情報技術)分野において創造性を追究する「ITアーキテクトコース」,(2)企業戦略とITの融合できるビジネス・リーダーの創出を目指す「ビジネスアーキテクトコース」,(3)ITと知財戦略・実務に強いプロフェショナル育成を目指す「知的財産プロフェッショナルコース」という,いずれも実務を前提にした専門コースを準備した。例えば,エンジニアである大学院生の場合,(1)を専門領域としつつ,応用的に(2)や(3)のカリキュラムを履修するといったことが可能である。
 第3は,新しい教育手法の導入である。社会人という時間的な制約を解消するためにeラーニングを通じたオンデマンドの授業コンテンツ配信や,グループ単位で課題に取り組む「アクション・ラーニング」などを取り入れ,効果的な教育プログラムを構築している。