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提供:日経BP知財Awareness

知財教育成果は教育工学の導入により高まる
教育工学の専門家,君島浩氏に聞く(上)
[2004/05/13]

 知的財産分野の人材の育成と評価のための指標を民間主導で提供する取り組みとして,「知的財産検定」が注目されている。この知財検定の特徴の1つは,制度設計や問題・教材作成の基盤として「インストラクショナル・デザイン(ID)」という手法を採用したことだ。 IDの意義などについて,教育工学の専門家でありIDの第一人者である君島 浩氏(防衛庁海上幕僚監部・教育専門官)に尋ねた。
(聞き手:村中敏彦=日経BP知財Awareness 編集委員)

インストラクショナル・デザインは教育成果を高める
教育工学の手法の一つとして,インストラクショナル・デザイン(ID)の意義についてどのように考えているのか?
 教育という仕事は,IDを通じて,広告をデザインしたりソフトウエアを設計したりするのと同じように,専門的な仕事になる。教育は,(1)分析,(2)設計,(3)開発,(4)実施,(5)評価という5段階の工程に分解して考えられる。
 最上流である「分析」工程では,(1)教育の対象となる業務の分析,(2)受講者の数と前提能力などの分析,(3)カリキュラムや講座の定義,(4)目標に応じた試験の定義,などを行う。最終工程での「評価」を通じて,再び分析をスタートさせ,この繰り返しを通じて,教育の成果を高める。
教育の成果とは何か?
 教育の成果とは成績の向上を意味する。IDでは,教育内容の構造を設計の対象として吟味し,実務ニーズを把握して教育内容を決めるので,受講者の成績が良くなり,業務遂行能力が高まる。逆に,教育がIDに基づいて適切に実施されなければ,現場にしわ寄せが行き,業務効率が下がってしまう。
 米国では,自動車のセールスマンが,IDによる教育を通じて営業成績を向上させようとする事例が少なくない。ファイザー日本法人は,1990年代に米国人の社長を迎え,MR(医薬情報担当者)に対する教育を実務的教育に転換してから業績が向上したと聞く。
君島浩氏。防衛庁海上幕僚監部・教育専門官

君島 浩氏
防衛庁海上幕僚監部・教育専門官
(インストラクショナル・デザイン・スペシャリスト)

東北大学工学部電子工学科卒業,富士通ファコム入社,富士通開発支援統括部ソフトウエア教育部長,富士通ラーニングメディア・研修部担当部長(教育工学担当),富士通人事勤労部担当部長を経て,2002年6月から現職。財団法人日本情報処理開発協会の教育機関で各種の調査研究委員会委員および委員長,財団法人日本科学技術連盟・ソフトウエア品質管理研究会指導員などの要職を務めた。著書に「企業内教育システムハンドブック」(ソフト・リサーチ・センター発行),「新時代の研修技法」(マネジメント社発行),「社内教育システム開発方法論」,「日本語作文作法」,「日本語発表作法」(この3点は日科技連出版社発行)などがある。

知財検定は知財と教育工学の専門家がデザイン
検定試験にIDを採用することに,どのような意義があるか?
 分析・設計・開発という工程モデルがあることを踏まえて,検定制度の設計や問題・教材の作成に取り組むことで,教育効果が上がりやすい仕組みを実現できる。最近の検定ブームに対して,「検定と受験対策セミナーはあっても,良い教科書や実用講座がない」という批判が散見される。細目まで合理的にデザインされた検定であれば,良い教材や問題を開発するのは難しくないはずだ。 IDの採用を実施主体が明言したという意味で,知的財産検定はユニークだ。このほか,経済産業省がIT人材の能力を体系化・策定した「ITスキル標準(ITSS)」や文部科学省系の「パソコン検定試験(P検)」も,IDの考え方を採用したものと考えられる。
知的財産検定についてどのように評価するか?
 知財検定では,企業の知財部門幹部に加え,弁理士という知財の専門家,IDという教育工学の専門家が協業して,「知的財産教育プログラム」をデザインした。実際の協業の場面であるID委員会を私が見学した範囲では,非常に優秀な委員の方々が,企業の知財実務に役立てる観点で,事例の収集・分析・体系化を進めていた。
 もしIDを適用しなかったら,企業の実務を離れて,法律の条文に偏った形で,問題や教材が作成されてしまった恐れがある。また,法律では規定されていない実務的なテーマは取り上げられなかった恐れもある。教科書に近い細目まで,IDによって用意したということも意義がある。