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金沢工業大学大学院・知的創造システム専攻

【現役院生インタビュー】 李 必連さん
社会人大学院は,専門分野の知識だけを身に付ける場所ではない
[2006/10/03]

李 必連さん 李 必連さんは,1年制の金沢工業大学大学院 工学研究科 知的創造システム専攻(知的財産プロフェショナルコース)の現役院生。短い大学院生活も既に半分を超えた。大学では化学を専攻し,企業での研究業務,発明創出支援業務,中国への留学など,様々な経歴を持つ。現在は,知的財産のエキスパートを目指し,基礎知識と実務知識を体系的に学びながら,日々修士研究に取り組んでいる。こうした社会人大学院には,本人の想像も超えた貴重な経験や出会い,問題意識やスキルを身に付ける場面が数多くある。そんな大学院生活の前半を振り返って,李さんに話を聞いた。


知財実務に触れ,法律と現場に介在するギャップを実感
 特許事務所との交渉,特許調査,文献調査,発明提案書作成など,実際に知的財産実務に携わってみて初めて,法律知識の,実務との乖離を感じました。これまで,法律については,研究業務の傍ら少しずつ学んできましたが,こうした仕事の現場では,単純に知識や経験だけでは対応できない場面にも直面します。そこで,近い将来,知的財産の実務家を本格的に目指すための準備として,大学院で改めて知的財産の基礎知識と実践的知識を体系的に身に付けようと考えました。
 大学卒業時に,事情により大学院への進学を諦めたことがあります。今では,社会経験のある院生が集う大学院も数多く存在し,仕事や生活の必要性に応じて後からでも専門知識を身に付けるチャンスは広がっています。

実務に役立つ知識,業務プロセス,交渉力が身に付く「法務リスクマネジメント特論」
 前学期では,選択必修科目として「特許実用新案特論」,「セキュリティ管理特論」,「ビジネスモデル開発特論」を,選択科目として「特許実務演習」,「意匠商標特論」,「デジタル著作権特論」,「法務リスクマネジメント特論」を履修しました。

 中でも,「法務リスクマネジメント特論」(一色正彦客員教授高槻亮輔客員教授)は,講義の内容,教授はもちろん,グループ演習を通じて課題解決へのプロセス,コミュニケーションの面も含めて,とても勉強になった科目の1つです。通常,<週1コマ(90分)・全15回>の講義が多い中,この科目は,隔週に2コマ連続で行なわれます。所有する特許に基づいて,事業化までの過程で必要な実践的な知識を身に付け,その過程で生じる法務リスクとその課題解決方法について議論します。中小・ベンチャー企業,大学などが大企業と事業化に向けた提携を進める際に必要となる,秘密保持契約(NDA)や共同研究契約のポイントから,ファイナンス(資金調達)の方法・契約にいたるまでを体系的に学びます。これまで,知的財産実務というと「出願」「発明支援」というイメージを思い浮かべていましたが,企業などの現場で技術を事業に育てるまでには,様々な準備や交渉が必要であることを,改めて実感しました。

 やはり,この講義の最大のヤマ場は,講義の中間地点で行なう演習(契約交渉ゲーム)でしょう。この演習は,4チーム(1チーム:約5人)が,「ある特許を所有する中小企業A社」と,「A社の特許に基づき共同研究を通じて事業拡大を図りたい大企業B社」,それぞれの立場に分かれ,提携に向けて実際に契約交渉を進めていくものです。この交渉は,双方が「Win-Win」の関係になることが目標です。演習後には教授からの講評があり,それぞれの交渉内容・経過・結果について分析し,議論します。
 私のチームには,大手電子機器メーカー(技術者),外国特許出願支援会社,経営・教育コンサルティング会社,新卒学生(法学部)出身者,といったそれぞれ異なる経歴を持つ院生が集まり,中小企業側の担当となりました。各チームには,TA(ティーチング・アシスタント)として,修了生や,客員教授の所属企業の同僚などが付き,助言,指導を行ないます。修了生であれば履修経験の立場から,客員教授の同僚であれば実務家の立場からアドバイスをするわけです。演習までの準備期間中は,退出時間ギリギリまでキャンパスに残って議論したり,チーム専用のメーリングリストを通じて,活発な意見交換を行ないました。1人で考える場合と異なり,妥協をせず,最後までベストを尽くして課題に取り組める点は,グループ演習の良いところだと思います。

 演習に臨む際,まず議論したことは,中小企業の立場でどういう方針を取るのがベストかということでした。例えば「会社の事業規模を拡大するためにも,販売拡大を優先するべきか。」,「研究開発に根ざした企業活動,発明者も望むような事業化を目指すのか。」,「研究開発を継続・発展させるために,外部からの一定規模の資金確保も必要なのではないか」,というようなことを議論し,最終的に「共同研究で使用する原材料は提供。コア技術と関連特許は絶対に守る。実施権はライセンスしない。共同研究によって新たに生まれた特許については共有する。」を前提条件として,大企業側B社チームとの交渉に臨みました。B社担当チームとの20分間にわたる交渉を2段階に行った結果,こちらの提示した条件は反映され,大筋で合意には至りました。しかし,B社側からの掘り下げた条件提示があったにもかかわらず,吟味せず,話し合いを避けてしまった場面などは,演習を通じての反省点であるとともに,貴重な体験になりました。

金曜日の講義の後は,毎週飲み会を開催
 大学院生活では,こうした講義や修士研究の中だけでなく,キャンパス外の交流も盛んです。例えば,「デジタル著作権特論」は,金曜日の22時に講義が終わることもあり,担当の市村直也客員教授が自ら中心となって,毎週飲み会を開催していました。特に課題のピークを超えた後は盛り上がります。こうした飲み会は,教授や院生との講義内での発表内容に関する意見交換の場であるとともに,仕事やプライベートに関する情報交換の場にもなります。同じ飲み会といっても,「ビジネスアーキテクトコース」,「ITアーキテクトコース」の院生とでは,また異なった刺激を受けます。特に,「ビジネスアーキテクトコース」には,会社経営者,ベンチャー起業家,ファイナンスに詳しい方など,ビジネス経験豊富な方が数多く在籍しており,常に新たな問題意識を植え付けられます。ビジネス系科目の必修科目の履修を含め,知的財産のプロを目指す上で,当初想定していなかった方向でも勉強になっています。

大学院,仕事,生活の課題を1つ1つクリアした先に,修了証書がある
 後学期に入り,1ヶ月が経ちますが,前学期と比べてテーマも絞られ,専門性の高い科目が並びます。入学当初から,知的財産と中国をテーマにした問題に関心を持ち,将来の仕事の専門分野にしたいと考えているので,「中国・アジア特許特論」などは,最も期待している科目の1つです。

 1年間で工学修士を取得できる分,カリキュラムが詰まり勉強は大変ですが,充実した毎日を過ごしています。社会人大学院の修了証書は,大学院,仕事,生活すべてにおいて,目の前にある課題を1つ1つクリアしてこそ,授与されるものだと考えています。



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